広島高等裁判所岡山支部 昭和28年(う)229号 判決
被告人は(イ)内田住義に対しては縁側より二間位離れた道路上より自己の教育委員立候補についての挨拶をなし(ロ)鎌谷豊子に対しては道路上から今晩はと声をかけ県道上より話をし(ハ)升花剛に対しては同家の牛つなぎ附近で選挙の話をし(ニ)田口米夫に対しては同家入口にある風呂場の外で挨拶をなし(ホ)内田すま子に対しては同家門口の道路上より縁側に出ていた同人に教育委員立候補の挨拶をしたものであつて、衆議院議員立候補者龜山孝一の選挙運動をしたものでなく又道路上其の他屋外で面接したのであるから戸別訪問にはならないという趣旨に解せられるが、各証拠を綜合すると、被告人は所論(イ)乃至(ホ)の各選挙人方を連続訪問(選挙人居宅に赴き家人を訪うときは戸外から声をかけ屋内に入らなくても訪問と解せられる)し衆議院議員立候補者龜山孝一に投票方依頼したことが認められるから、選挙に関し龜山孝一に投票を得しめる目的を以て右各選挙人方を戸別に訪問したものと認定した原判決に誤りはない、而して戸別訪問の罪は前記の目的を以て選挙人方を戸別に訪問することによつて既遂となるから訪問後面接した場所がたとえ所論の如く道路上其の他屋外であつたとしても同罪の成立を妨げるものではない。